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井村屋グループDX推進

① 企業経営の方向性及び情報処理技術の活用の方向性

1.経営ビジョン(デジタル時代の価値創造)

井村屋グループは、パーパスである「おいしい!の笑顔をつくる」を根幹に据え、デジタル技術を単なる効率化の手段ではなく、新たな価値創造の源泉として位置づけています。

社会・経済の変容への対応

少子高齢化や労働人口の不足、原材料価格の高騰といった厳しい外部環境の変化に対し、中長期的な視点で「2030年を見据えた成長戦略」を描いています。

デジタル技術の活用方針

AI、特に生成AIを「創造的なタスクを支援する強力なツール」と定義し、単なる自動化を超えてアイデアの創出や業務の変革に活用することを目指しています。

目指す姿

伝統を大切にする「不易」と時代の変化に機敏に対応する「流行」を両立させた「特色ある価値創造企業」として、社会から共感されるグループの構築を掲げています。

2.ビジネスモデル(Kの字経営による持続的成長)

「データやデジタル技術を活用した付加価値の高いビジネスモデル」として、井村屋グループ独自の「Kの字経営」がその役割を果たします。

トップラインの伸長(Kの上向きの線)

グローバル展開の加速
「あずきをAZUKIに」のスローガンのもと、米国・中国・マレーシアなどの拠点を中心に、各国のニーズに合わせたローカライズ商品を展開し、海外売上高比率8.8%(2026年度目標)を目指します。
新価値の追求
顧客志向を徹底し、健康・機能性を意識した新商品の開発や、EC・業務用ルートといった新たな顧客接点の創出に注力します。

コストイノベーション(Kの下向きの線)

AIによる生産性向上
生成AIを活用した「コストイノベーション」を重点事項とし、業務効率化やロス・ミス・ムダの削減を強力に推進します。AI需要予測により生産計画、原材料発注、適正在庫の確保や物流体制の全体最適を図り、エネルギーコスト、物流コストの抑制と商品安定供給を両立させます。

人的資本と基盤(Kの縦のライン)

人材の「人財化」
デジタル技術を使いこなすのは「人」であるとの認識から、ノーコードツール、RPA、生成AI活用のワークショップや教育への投資を行い、社員一人ひとりのエンゲージメントを高めます。
多様な人財が自己成長を図る職場へ
従業員が心がける信条や行動指針として「井村屋グループクレド」を制定しています。積極的な人材への投資により、階層別・公募制の研修、通信教育など様々な形で自己啓発を支援しています。

② 企業経営及び情報処理技術の活用の具体的な方策(戦略)

1.データを資産と捉えた既存ビジネスの変革

データを様々な部門において価値を生む「重要な資産」として認識し、2020年からスタートしたDX戦略プロジェクトの3つの改革を柱に既存ビジネスの付加価値向上を進めています。

繋がり改革(DX1)

SCM(サプライチェーンマネジメント)の標準化を進め、営業情報をデジタル化して部署間で共有することで、溢れる情報に溺れることなく「必要な情報をスピーディーに繋げていく」体制を構築しています。営業情報・在庫情報・受注情報・生産情報をシームレスに連携した需給管理システムが2026年度に本稼働し商品カテゴリーごとにバラバラであった情報の標準化による生産性向上によるコスト削減に繋げて行きます。

物づくり改革(DX2)

工場でのIoT基盤構築やAI検査カメラによる検品自動化、ハンディターミナルを活用した在庫管理を実現し、現場の「見える化」とデータ活用を推進します。生産現場でのノーコードツール活用が進み担当者自らがアプリケーション開発スキルを身につけペーパレス化が進んできています。

働き方改革(DX3)

RPA(ロボパット)の活用を促進し、マスター登録業務の自動化や売上日報の配信、POSデータの自動取得などルーティン業務の自動化を進め業務削減を実現し、サポート担当のより付加価値の高い支援業務へシフトさせて行きます。

2.社会課題解決と新規ビジネスの創出(生成AIとBCP)

生成AIの高度活用

2025年度からは、特定の業務知識を学習させた「AI agent」や「RAG(検索拡張生成)」の開発に着手し、マーケティングやものづくりの現場での課題解決を加速させる戦略です。

レジリエンスの確保

大規模災害時に備え、基幹システムのクラウド化を進め衛星通信Starlinkを導入して通信網を確保するなど、デジタル時代のBCP(事業継続計画)を経営戦略として明確に位置づけています。

環境負荷低減

「エコロジカルはエコノミカル」の考えに基づき、2026年度より環境・安全推進部が発足し廃棄物削減活動にデジタル技術を融合させ、アップサイクルセンターの更なる稼働率向上により、社会的価値と財務的価値を同時に創造していきます。(SXとの一体的推進)。

3.戦略推進のための体制と基盤整備

部門連携を主軸とした推進組織の構築

2020年度から2025年度まではトップダウンの「DX戦略プロジェクト」がDXを主導してきましたが、2026年度からはグループ事業会社各部門から選出された「DX担当者」が「DX推進委員会」メンバーとなり現場主体のデジタル改革を推進する体制へと移行します。

デジタル戦略室のハブ機能

井村屋グループ株式会社の「デジタル戦略室」が中心組織となり、「DX推進委員会」の事務局部門として、コストイノベーションに向けた生成AI活用やネットワーク構築、セキュリティ強化ならびにデジタル人材育成を統括します。

現場の「知の共有」

選任された「DX担当者」が部門間の垣根を越えて取り組み成果を報告し合うことで、グループ全体で「知の共有」を加速させる新たな活動形態として行きます。

クラウド活用による全体最適

Box、ZoomWorkplace、Workvivoなどのクラウド基盤を活用し、場所にとらわれない働き方と、セキュアな情報共有環境を実現しています。

サイバーセキュリティ

外部機関によるセキュリティアセスメントを定期実施し、SOCサービスの導入やバックアップ体制の強化を経営課題として取り組んでいます。

経営陣による意思決定と対話の仕組み

経営戦略会議への報告
「DX推進委員会」の活動内容は「デジタル戦略室」で取りまとめられ、経営戦略会議へ適時報告されます。
トップからのサジェスチョン
経営TOPから直接サジェスチョン(示唆)を受けることで、経営ビジョンとDX施策の整合性を保ちながらPDCAを回す体制が確立されています。
戦略的な組織再編成
2026年度にはバックオフィス機能の強化を目的に「経営管理グループ」と「経営戦略グループ」を設置。デジタル戦略室を「経営戦略グループ」内に配置することで、中長期の事業戦略とデジタル施策をより密接に連動させています。

井村屋グループはデジタル技術を単なる効率化の道具ではなく、
「特色経営」を深化させ、持続的な企業価値向上を実現するための不可欠な基盤として位置づけています。

組織文化の変革とマインドセットの醸成

若手主導のボトムアップ活動
社内公募により集まった若手社員による「生成AIワークショップ」を実施。現場発のアイデアを吸い上げ、優秀事例を社内ポータルサイトを利用し共有発信し、「生成AIワークショップ」修了者に社内ポータル内での認定バッチを付与、挑戦を称える風土づくりを行っています。
デジタルリテラシーの階層別育成
全従業員のスキルを4階層で定義し、特に「D層」へのアプローチを強化することで、全社的な底上げを図っています。

③ 最新の情報処理技術を活用するための環境整備の具体的方策

1.ITシステム環境の整備に向けた方策

井村屋グループは、レガシーシステムがDXの足かせとならないよう、「情報の標準化」と「クラウド基盤への統合」を軸とした整備を進めています。

コミュニケーション基盤の統合と全体最適

2024年度までにBox、Zoom Workplace、Workvivoを中心としたプラットフォームへ統合しました。これにより、場所にとらわれない働き方と全社横断的な情報共有を可能にし、情報のサイロ化を回避しています。

SCMの標準化とプラットフォーム構築

生産・販売・在庫の各計画を繋ぐ統一プラットフォーム需給管理システムが本稼働しました。さらに、小売業POSデータの全国共有を進めています。

現場主導のシステム化

ノーコードツール(Kintone)を活用した設備台帳の作成、工場での稼働記録表、経費申請のデジタル化、またRPA(ロボパット)による売場情報の自動配信などを推進し、属人的な業務の排除とデータの整合性確保を図っています。

データ利活用基盤の強化

ファイルサーバーを撤廃してBoxへ移行し、外部コラボレーションや電子帳簿保存対応、API連携によるデータ活用(BIツール導入など)を推進しています。

2.サイバーセキュリティ対策(ガバナンスとレジリエンスの強化)

経営者がサイバーセキュリティを経営リスクと認識し、事業継続(BCP)の観点から強固な体制を構築しています。

経営陣のコミットメント

「情報セキュリティ基本方針」を策定し、代表取締役社長が主導して組織的・継続的な改善を行う責任を明確にしています。

継続的なアセスメントと対策

外部機関によるセキュリティアセスメントを定期的に実施し、抽出された優先課題(リスクアセスメントの明確化、アクセス権限の見直し等)に基づき、年度ごとの改善計画を実行しています。

高度な監視と防御体制(SOC/EDR)

専門アナリストによる24時間365日の監視・対処を行うSOCサービスや、AI分析による振舞検知を導入し、サーバー・PCからネットワーク機器まで監視対象を拡大しています。

人的対策と教育

全役員・従業員への継続的な教育に加え、標的型メール攻撃訓練を実施し、従業員の意識向上に努めています。また、万が一に備えサイバーリスク保険にも加入しています。

④ 戦略の達成状況に係る指標の決定

DX戦略と直結した成果指標

  1. RPAの活用にて業務自動化にて月400時間の業務削減を目指す。
  2. AIエージェントの活用による営業提案書、商品企画書作成の効率化50%向上
  3. 請求書発行発送業務のデジタル化による請求書発行業務70%削減
  4. 原材料WEB-EDI導入によるFAX発注80%削減による発注業務の効率化
  5. 基幹システムのクラウドシフトによりシステム管理工数30%削減
  6. データレイク構築とAI需要予測の取り組みにて予測精度85%の達成

情報セキュリティ基本方針

私たち井村屋グループは、お客様ならびに社会の信頼に応えるべく、以下の方針に基づき、グループ全体で継続的に取り組み、情報セキュリティの向上に努めます。

  1. 経営者の責任
    当社は、経営者主導で組織的かつ継続的に情報セキュリティの改善と向上に努めます。
  2. 適用範囲
    井村屋グループが管理するすべての事業活動に関わる情報資産を適用範囲とします。
  3. 社内体制の整備
    当社は、情報セキュリティの維持及び改善のために組織を設置し、リスクに応じた適切な管理・対策を行います。
  4. 従業員への教育訓練
    全ての役員、従業員に対し、継続的に情報セキュリティについての教育・啓発を行い、情報セキュリティに対する意識向上に努めます。
  5. 定期的評価及び継続的改善
    定期的に情報セキュリティ管理プロセスを評価し、継続的な改善計画の策定と実施を行います。
  6. 法令及び契約上の要求事項の遵守
    当社は、情報セキュリティに関する法令、社会的規範、また当社が定めた規程 ・ルールを遵守します。
  7. 違反及び事故への対応
    当社は、情報セキュリティに関わる法令違反、契約違反及び事故が発生した場合には適切に対処し、再発防止に努めます。

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